グリーンブックのあらすじ

1940年代、アメリカに住むイタリア系の移民の生まれのトニー。腕っ節が強く用心棒もしている。しかしその日暮らしで金がない。

そんなトニーのもとに金払いのいい長距離ドライバーの依頼がくる。

依頼元を訪れてみると、豪奢な部屋に法衣をまとった礼儀正しい黒人の男がいた。

話を聞くと、どうやら黒人の天才ピアニストであるドンが、差別の激しいアメリカ南部のツアーにドライバーを兼ねた用心棒として同行してほしいという依頼だった。

危険な旅に頼りにしたのが腕っ節の強いトニーだったというわけである。

危険な長旅で帰れるのもクリスマスの直前である。妻との相談の上しぶしぶに依頼を引き受けるトニー。

グリーンブックを渡される

トニーに旅の始まりに緑の冊子を渡される・・・黒人が宿泊できるホテルのリスト、グリーンブックである。

旅のはじまりから二人は価値観が合わない。トニーは言動や態度も粗野で教養がない。ドンはカタブツ。

そんな二人だが、お互いの価値観をぶつけあい、差別のアクシデント通して徐々に交友を深めていく。

ドンは行く先々で差別を受ける。そして多くの困難を乗り越えて、ついにツアーの最後の場所にたどり着く。

総合評価 

評価:★★★★★ (非常に良い)
印象:泣ける・知的・カッコいい

ただのヒューマンドラマに収まっていないと思うため★5にしました。

非常に機知に富んだストーリーの展開が素晴らしかったです。

ヒューマンドラマというとちょっとしたトラブルが起きたりして、最終的にはちょっといい話で終わる、というのが大体の★3★4の映画です。

しかし本作は実話を元にした過酷な人種差別の時代が描かれています。

その中でただ暗い話になるのではなく差別にいかに向き合うか、という重たいテーマも描かれつつ、その中で異文化交流による主人公たちの軽妙な会話に唸らせられました。

グリーンブックのここが良かった

対照的な2人を差別を背景に描いている

対照的な二人、という異文化交流のモチーフが時代の文化を通して描かれるのが良いです。
その理由は、その時代にあった差別、という特有の問題を二人の冒険とそこで起こる関係性を通して描いているからです。

普通は黒人の方が品性がなく、白人が品性があるように描かれるのがステレオタイプだと思いますが、この作品はこの関係性が逆なんですよね。

例えば、ドンがトニーに薦められてフライドチキンを初めて食べるシーンや、トニーがドンから妻への手紙の書き方の指南を受けるところなどでこの関係性が良く分かります。

見ていて互いの良いところを受け入れて交友を深めることの大切さに気付かされたシーンでもあります。
さらにこの部分は、別のシーンにも活かされていて伏線としての意味もあり重要です。

良かった所2 機知に富んだ演出

価値観の異なる二人が旅を通して交友を深めるという、欧米の映画ではよくありそうな話ではありました。
しかし、ストーリーで描かれる機知に富んだ演出がおっと思わせるしなかなか笑えます。

※どんなものなのか、例があれば尚よし

良かった所3 手紙の伏線

ドンはトニーから旅の安全をもらう代わりに、金銭だけでなくマナーや妻への手紙での言葉の使い方などを教えています。最後には、手紙の伏線でおっと思わせるうれしい演出もありました。

モチーフにしているのが手紙、というのがまた時代を感じさせます。現代ではなかなか手紙を書く機会も少なくなっていますから、手紙を何度も書いているシーンは印象に残りました。

良かった所4 差別の演出

差別の演出は映画だからオーバーなところもありますが、こんなにもいやな気分になる差別があったことには驚かされました。

いまの社会では差別は少なくなっているかもしれないけれど、なかなか現実世界では、価値観の異なる人を受け入れる、というのは難しいことのように思えます。

しかし、多様性を受け入れ、与え合うことで新たなものの見方をできるようになれるかもしれないということを教えてくれる。そんな作品でした。

印象に残ったセリフ・シーン

「才能だけではだめなんだ。勇気が人の心を変えるんだ。」

終盤のドンがツアーを行った理由を、トニーが演奏の予定会場であるレストランで食事をしているときに同行者から聞かされるセリフです。

「才能だけではだめなんだ。勇気が人の心を変えるんだ。」

この台詞が印象に残ったのは、ストーリー上ドンは毅然としていて、かつ、品格のあるキャラクターとして描かれていますが、ドンがなぜこのようなキャラクター性で描かれていたのかを象徴する台詞だったからです。

これまでのストーリーで描かれてきたことが腑に落ちる、生きかたの美学を感じる台詞でとても印象に残る台詞でした。

こんな人にオススメ

アメリカの歴史的な文化、多国籍な文化というところに関心がある人におすすめです。

多少オーバーに描かれているところはあるにしても、まさか昔はこんなに差別があったなんて驚きだと思います。

日本ではここまであからさまな差別というのはなかなかないのではないでしょうか。

そういう意味で生まれによって差別が生じるということがこんなにも残酷なことであるということがよくわかりました。

生きていく中で小さな差別があることもありますが、見極めて受け入れる精神は大事だと思わせられます。

グリーンブックをみた私の思い

機転の利いたシーン構成がとても良かったので現実世界でも使ってみたいと思わせられました。