あらすじ
ロンドンで遊ぶばかりで働こうとしない美大生、フレディ・マーキュリーは、3人組バンドの「SMILE」を追いかけていました。

しかし、ある日そのSMILEのヴォーカルが脱退してしまいました。そこでフレディはバンドに加入し、どんどんとそのカリスマ性を発揮させていきます。

そのお陰か、SMILEから名前を変えた「Queen」はテレビ番組に出演したり、アメリカへのツアーが実現したり、どんどんと成り上がっていきます。

そして、フレディは恋人のメアリーと婚約します。メンバーもフレディのことを「家族だ」と非常に近しい存在として扱っていました。

しかし、その一方で、ゲイとしての自分の欲望が表面に出てきます。同性愛に理解がなかった時代、フレディはどんどん孤独を感じるようになっていきます。

メアリーとも別れてしまい、夜な夜な男遊びをする日々でした。孤独感は増して行くばかりで、「帰る場所がない」と感じるほどに追い詰められていきます。

総合評価 

評価:★★★★★ (非常に良い)
印象:泣ける・楽しい・幸せ

ミュージシャン伝記映画にも関わらず、全く退屈しない内容で、ドラマティックでずっと目が離せませんでした。テンポが良く、間に入る楽曲も素晴らしく、次にどんな展開が来るのかワクワクしてたまりませんでした。

評価の内容としては、私の基準だと、「楽しめたか」になります。この作品は、一瞬たりとも「つまらない」と思う部分がありませんでした。

テンポの速さについていけないということもなく、冗長な部分もなく、すべてのシーンが無駄になっていませんでした。よって、非の打ち所がないと感じました。

ボヘミアンラプソディのここが良かった

フレディの苦悩に焦点を当てているのが良い

フレディのセクシュアリティのこと自体に言及するのではなく、それに苦しむフレディの姿を描いたと言うのが一番良かったと思います。

ミュージシャンは何かしらスキャンダラスな部分を持っているわけですが、あえてこの映画ではフレディの「苦悩」に焦点を当てています。

そこが、人々の心に刺さるのだと思います。

誰にでも、「人に言えない苦しみ」を抱えているもので、フレディもその一人に過ぎませんでした。

そんな一人の「人間」としての物語になっているので、自分に照らし合わせることができます。

現実味があるのです。スキャンダラスな部分を描いても、興味のある人にとっては面白いかもしれませんが、普通の、興味のない人にとっては何も面白くありません。

しかし、この映画は「人間の孤独、帰れる場所」について描いていて、どんな人でも「私もこういう部分がある」と感じることができます。

そこから救われて行くフレディを見ることで、自らの「帰る場所」を見つけることができるかもしれない、と私は感じました。

また、楽曲が多く使われているのですが、その楽曲の使いどころがちょうどいいです。ファンにとっては多少物足りないかもしれませんが、知らない人にとっては楽曲はおまけみたいなものです。

そのおまけが、ちょうどいい長さにまとまっています。ですので、「早く次のシーンいってほしい」という気持ちにさせない演出になっています。

印象に残ったセリフ・シーン

「僕らは家族だ」・・・、「違う」

フレディがソロに転向すると言い出した後、ブライアンが「僕らは家族だ」と言ったのに対し、「違う」と声を荒げた場面がとても心に残っています。

そのシーンの時、フレディ以外のメンバーは結婚していて、子供もいました。

しかし、フレディは男性の恋人を毎晩変えているという日々を過ごしていました。「俺には何がある」と泣きそうに言うフレディを見ていて、思わず胸が痛みました。

フレディにいたのは一晩限りの恋人だけでした。「家族」「家」とはもっと信頼のできる相手と、安心できる場所のことです。一晩限りの恋人に対し、そんなものがあるはずはありません。

だからフレディはそのどちらも持ち合わせていないと感じていたのです。それはどれほどの孤独だったのか、考えただけでゾッとします。

ブライアンの優しい「僕らは家族だ」と言う言葉さえ届かないほど、フレディは殻にこもって苦しんでいたのだと分かりました。

その時の他のメンバーの表情も印象に残っています。ブライアンはとても悲しい顔をしていました。「どうして信じてくれないのだ」と言う顔に見えました。

ジョンは顔を覆って、「もうダメかもしれない」と辛そうにしていました。ロジャーは呆然として、「どうして」と言う感情と、微かな怒りが見えました。

そんな4人の感情の渦巻きが、私は辛くも好きです。

ダメだった所や改善点は?

あまり欠点はないのですが、あえて言うのであれば、実際の出来事を捻じ曲げて映画の物語にしているところです。

私はクイーンファンなので知っているのですが、かなりの部分が改変されています。特にエイズ告白のシーンは感動させるためにわざと持ってきた感じがありました。

クイーンのメンバーが監修しているので問題はないのですが、さすがに無理やりお涙頂戴しようとしているように見え、ファンはかなり気になったと思います。

ただ、それがないと物語の起伏がなくなるので、仕方のないことだったとは思います。

こんな人にオススメ

昔の洋楽が好きな人にオススメです。

特に40~50代の方々にとっては、クイーンはしょっちゅう流れていたアーティストの1つであったと思うので、そのクイーンがどのような物語を綴ったのかを見るのは、とても楽しいと思います。

また、脇役の人もかなりしっかりと80年代の特徴をつかんだ演技をしているので、懐かしさを感じることができるかもしれません。

また、バンドが好き、と言う人にもオススメしたいです。

何しろクイーンはバンドなので、成功したバンドがどのような成長を遂げ、メンバーがどんな苦悩を超えてきたのかを知るのは楽しいはずです。

私の思い

この映画、メンバーの演者の似せ方が半端ではありません。特にブライアン・メイ役のグウィリム・リーは声までそっくりで、ブライアン・メイの息子も聞き違えたらしいです。

ファンの人が比較画像を作っていますが、まるで歳をとっていないかのようなそっくりさです。ファンとしてはかなり嬉しかったです。

ボヘミアンラプソディの裏情報・小話

この映画が試写会で上映された時、誰もこの映画がヒットするとは考えていなかったようです。

配給会社も「どうやって売り出そうか」と考えあぐねいていたそうです。

しかしやはりそのフレディの人生の苦悩が若者にも伝わり、たくさんの人々に愛されるようになったのでしょう。

関係者によりますと、来年あたりクイーンが来日するのはほぼ確実だそうです。