あらすじ
第二次世界大戦時のポーランド。音楽家の主人公は戦争に巻き込まれ、人生を変えられます。

ポーランド人に対する差別。ユダヤ人への虐殺。それまで穏やかに暮らしていた生活が一瞬で変わり、それが2年以上も続きます。

家族とも離れ、気まぐれに同胞が虐殺されていく毎日。反乱も企てましたが、ドイツ兵を前に武器もないユダヤ人が適うはずもなく結果は目を背けたくなるものです。

逃げて、助けられ、人脈をたどって何とか生き逃れる主人公ですが、寒い冬に身寄りもなくなった時にドイツ兵と鉢合わせます。

ドイツ兵に命令されるまま己が持っている技術を見せ・・・

総合評価 

評価:★★★★☆ (良い)
印象:悲しい・怖い・知的

ストーリー構成、世界観、役者とそろっているものは最強です。しかし、残酷なシーンが多数あるため歴史を学ぶにしても目をそむけたくなる人もいるのでは…と思ったので、★5ではなく★4にしました。

知らなければいけない事実なのですが、万人受けするには少しハードルが高いかと思われます。

勇気があれば知ってほしい歴史の事実なので、人生のどこかで一度は見てほしいです。

戦争は悲惨といいますが、なぜ悲惨なのかが決定的に結論付けられた映画であると思います。

戦場のピアニストのここが良かった

登場人物の心情が繊細に描かれいる

世界観と主人公を取り巻く人物たちの心情がとても繊細に描かれています。ああ、戦争って感情が死ぬんだな…というのがとてもよくわかる映画です。

戦争の恐怖を体感できる

戦争を疑似体験できる映画で、特に始まりの演出はホラー映画よりも不気味です。

拘束された街に小さな穴から戻ろうとする子供が暴力を受けて事切れる瞬間に戦争が始まった、とどこか息をのむ瞬間があります。

銃声も爆発音も聞こえずに戦争が始まったことを知らせるあの技術。不気味すぎます。でも実際、開戦はそうやって訪れるんだろうなと未来に起こるかもしれない戦争に恐怖しました。

とても自分の身において考えやすい映画です。自分はポーランド人でも音楽家でもないけれど、一市民なのだと感じるからだと思います。

個人の感受性に関係なく体感度がものすごく高い映画です。

いつのまにか当事者と観ていることに気づかされ、もしもこれから戦争が起こったらこんな感じなんだろうなという考えが念頭に置かれ、世界が激動に巻かれ主人公が翻弄されるようすについていくどころか、主人公と一緒に流されている気にもなります。

印象に残ったセリフ・シーン

「こんなの絶対におかしいわ。私が言ってくる。」

ユダヤ人への搾取・拘束が始まったころ、主人公のファンであるポーランド人の女性とユダヤ人である主人公との会話。

レストランに入る際に、『ユダヤ人お断り』の看板に対して、女性が強気に、「こんなの絶対におかしいわ。私が言ってくる。」と委員菅、主人公はやんわりと止めます。

なぜこのシーンが印象的だったか、その理由は戦争の時代に生きた人たちは差別がしてはいけないこと、という認識がなかったのだと以前の私は考えていましたが、実際はそうではなかったということ。

戦争に巻き込まれるポーランド人、ユダヤ人を含めた同胞たち全員が「差別はおかしい」と理解していたからです。

なのに戦争を前にすると抗えない。常識が覆された瞬間だと思います。

戦争の悲惨さはそこにあるのだと思いました。怖いですよね、「いけないこと」だとわかっているのに「いけないこと」をしないと罰せられるし殺される。

そんな時代に我々現代人は過ごしてはたして生き延びれただろうかと想像すると、とてもではありませんが生き延びることに関しては無理ではないかと感じたほどでした。

この映画全体を通して、戦争の悲惨さを学べると思います。第二次世界大戦のような状況を回避するには、我々は何をすればいいのでしょうか。残念ながら答えはでませんね。

こんな人にオススメ

戦争の悲惨さとは何なのか、漠然としている人にほど見てほしいです。

人が死ぬから? ひもじい思いをするから? 街が壊れるから? もちろん全部当てはまると思いますが、それは根本ではないと思います。

残酷なシーンがたくさん盛り込まれている映画なので、ある程度鑑賞には覚悟が必要ですが、戦争とは何ぞや、なぜ戦争って悲惨なの?と答えにたどり着かない方にオススメです。ばっちり答えがでます。

私も二回目を観るのにとても勇気がいりました。

私の思い

私が観た映画は、「戦場のピアニスト」です。第二次世界大戦時のポーランドを舞台に、戦争に巻き込まれるある音楽家の生還映画です。

少し真面目な話にはなりますが、この映画を挙げた理由として、まず戦争の悲惨さは避けては通れないという点です。

戦争が悲惨であることは周知の事実ですが、なぜ悲惨か。それは、街、生活、人間関係が潰されるのはもちろんですが、根底に隠れているのは人間が「してはいけない」と理解していることが、世界的に覆されることです。

第二次世界大戦時、ポーランドではユダヤ人への搾取、拘束そして虐殺が行われます。

ユダヤ人がなぜそんな扱いを受けるかは宗教上で語られており、恐らく日本人には理解が困難かと思われます。

ですが、卑劣な扱いを受けるユダヤ人だけでなく、ポーランド人全体が「同じポーランド人」を差別し、扱いに差を付けること自体おかしいと認識していました。それは映画の中でも語られています。

70年以上も前の人たちは差別がいけないことなのだ、ということがもしかしたら知らなかったのかもしれないと、初めて戦場のピアニストを観た幼い自分は思っていましたが、改めて観ると実はそうではない。

ポーランド人全体が「ポーランド人に差をつけることはおかしい」と思いながらも、覆される常識に溺れるしかなかったということがわかります。それが戦争なのだと結論づけられました。

必ずしも人を助けた兵士が報われることはないし、罪なき同胞は無罪にも関わらず死に至る。そこに悲惨さがあるのだとそう解釈しました。

普段は洋画のSFアクションを好んで観る自分ですが、たまには歴史を振り返って、戦争の意味を噛み砕いて理解することも悪くはないと思います。

洋画・邦画、フィクション・ノンフィクションに限らず映画から学ぶことは多いですね。人類の財産だと思います。