あらすじ
主人公である青柳雅春は、仙台で運送業のドライバーをしている一般男性。

仙台で行われている首相凱旋パレードの最中、そんな普通の男性、青柳は友人に呼び出されて、向かった先で首相暗殺事件が発生します。

事態を把握しきれない青柳の前に警察官が現れ、なぜか首相暗殺犯として銃を構えた警察官に追われることになります。

テレビでは身に覚えのない証拠映像が次々と放送され、仙台中で青柳包囲網が敷かれていきますが、青柳のことを良く知る知人や旧友たちは彼が犯人ではないことを理解しているようでした。

青柳は大学時代の友人たちや職場の同僚、裏家業の人間など、さまざまな人の手を借りることで警察からの逃走を試みます。

しかし同時に自分が犯人ではないことを証明したいとも考えていました。

そこで青柳は生中継のテレビカメラの前に現れ自身の無実を白日の下にさらそうと考えますが、青柳の目論見は警察の手によって阻止され、あまりにも巨大な敵を前にどんな手を使っても逃げのびることを選択するのでした。

総合評価 

評価:★★★★☆
印象:興奮・知的

ベストセラーとなった原作小説をもとに製作されているため話しの筋やテーマが面白く、最後まで飽きずに楽しむことができる作品だと思います。

登場人物や伏線なども多くちりばめられていて、見返して新しい発見ができる作品でもありますが、各エピソードについてはやや詰め込み過ぎな部分や説明不足な部分があるのもいなめません。

全体的に見るととても面白いエンターテイメント作品に仕上がっていますが、細かい部分に粗が見られるため星4つとしました。”

ゴールデンスランバーのここが良かった

まず首相暗殺事件を描くという題材が日本映画としてはあまり見られないもので、それだけでわくわくするようなエンターテイメント性に富んだ作品だと感じました。

ハリウッドのように主人公をヒーローのような扱いにして派手なアクションで魅せるのではなく、エピソードの積み重ねで人柄を見せていったり、多くの人の手を借りることで窮地から逃げ延びていく様子は日本的なようにも感じました。

青柳が無実の逃走犯となったことをきっかけに青柳を知る人物たちが過去の記憶を思い出し、昔のエピソードがリンクしていくような構成は、逃走劇をテーマにしたアクション映画というだけではなく青春映画の要素も詰まっていて面白いと思いました。

映画の中で印象的に使われているのが花火で、作中の台詞としても登場しますが、花火は離れた場所からでも見ることができ大勢の人が同時に見ていることで「同じようなタイミングで同じことを思い出している人がいる」というのがひとつのテーマとなっています。

それをきっかけにストーリーが進行していく様子は味わい深いものでもありました。

青柳の事件を通して青柳を知る人や青柳自身が過去のことを思い返し、過去のエピソードが現在につながっていくところが感動的で構成の見事な部分でもあります。

印象に残ったセリフ・シーン

仙台の街の中で行き場を失っていく青柳が車を手に入れるシーンが印象的で、大学時代の記憶を頼りに青柳は車が放置されている空き地へ向かいます。

そこには当時と同じようにボロボロの車が放置されているのですが、当然バッテリーは使い物にならず動くことはないのです。

追い詰められた青柳は自身の置かれた環境への悔しさからメモを破り「俺は犯人じゃない」と書き、車の中に残していきます。

同じようなタイミングで同じことを思い出していた人が青柳の大学時代の恋人であった樋口で、樋口は大学時代に青柳と会話した記憶から車のバッテリーを購入し交換するために空き地へとやってきます。

誰かが空き地の車のバッテリーを交換していたと聞いた青柳が車に戻ると、先ほどとはうって変わって車のエンジンが動き出すのでした。

エンジンがかかったことに思わず涙する青柳が、先ほど車に残したメモを見やると「俺は犯人じゃない」の文字の下に「だと思った」という文字が加えられているのを発見します。

作中では直接会って会話を交わすことはなかった青柳と樋口ですが、樋口が間接的に青柳を助けるシーンが多くあり、同じタイミングで同じことを思い出しているというのが映画的な演出として効果的に作用していると思いました。

こんな人にオススメ

映画「ゴールデンスランバー」は設定として分かりやす題材で先が気になるストーリーでもあるため、単純に娯楽映画を楽しみたいという方にはおすすめな作品です。

また伏線が多いので、それらがきれいにまとまるラストシーンも見どころのひとつだと思います。

映画のタイトルにもなっているビートルズの「Golden Slumbers 」が斉藤和義のカバーによって印象的に使われ、ストーリーや音楽、意外性のあるラストなど映画として楽しめる要素が詰まった作品です。